イノベーションに溢れる世界
「スピリットマインドに繋がると、直感や閃きが降りて来るようになる。
そんな人が増えると、それは広がりを生み、世の中に新しい創造、イノベーションが増えていく」
恒美(ひさみ)さんがこんな話をしてくれたのは、
ある日のミーティングの時のことです。
イノベーションというのは、今までもさまざまな分野で求められるものとされてきましたが、
あらゆる面で行き詰まりが見られる近年のこの社会では、特に必要とされてきているように感じます。
例えばこれは経営の話になりますが、2008年のアメリカで、これからの時代のマネジメントを再定義するための道標を打ち出すことを目標として
著名な研究者やビジネスリーダーが一同に会した会議が開かれた、という話を聞きました。
そこで出された結論として、これからの時代に必要とされるのは、
「人間的でクリエイティブ=創造的な経営モデル」である、とのこと。
そして、この会議では、数値での管理による経営を「時代遅れ」と強い言葉で非難していたそうです。
これは、短期の成果や数値目標を達成することを評価の基準としたり、
仕事の現場の最優先事項が数字作りになっていたりといった、
「計画し、計測し、分析して、データ数値の改善を図るのが経営である」
という、これまで多くの企業が採用してきた経営のパラダイムが、今の時代では様々な面で行き詰まりを見せていることを示しているのだと思います。
また、イノベーションというものは、それまでには無かったものですから、それを数値などで測ったり評価する事ができない訳です。
つまり数値による経営は、これから必要とされている創造性の発揮やイノベーションを起こすことの妨げになる恐れが出てきてしまうのです。
故に時代遅れと否定されたのでしょう。
「グレートリセット」という言葉を大きく広めた2021年の世界経済フォーラムでも、イノベーションの必要性についての言及があったそうです。
世界経済フォーラムとは、政治・ビジネス・社会といった各分野のリーダーが集まり、世界情勢の改善に取り組む国際機関ですが、
これからやってくる時代の経済のあるべきあり方を見出すことや人々の働き方の改善、格差の是正や幸福度の上昇などの諸々の目標達成を目指すためには、既存の枠組みではもはや対応できなくなっていて、別の新たな仕組みを作る必要があるということは、こうした会議に出席する各分野のリーダーたちだけでなく私たち1人1人も日頃から感じていることですよね。
スピリットマインドに繋がることで、数値データにとらわれずに創造性を発揮する人が増え、
その結果、世の中にイノベーションが溢れるようになってくるのだとしたら、
これからの時代に必要な、スピリットマインドという新しい意識の在り方は、
ビジネスの世界で必要とされている新しい経営の在り方にも、きっと繋がっていくのではないでしょうか。
しかしながら、ここで一つ意識しておかなければ
ならないことがあります。
恒美さんは続けます。
「この世は二極。
ポジティブがあれば必ずネガティヴがある。
新しいイノベーションが生まれたとき、
ポジティブな面だけではなくネガティヴな面も生まれることを
知っておく必要がある」
例えば、宇宙開発の技術を例にとると、
ロケットを飛ばす技術が、ミサイルを飛ばす技術に使われることはよく知られており、
宇宙開発は軍需産業と深い関わりがあります。
月や火星に簡単に行けるようになる技術が、人間同士が殺し合う武器の開発に使われる事につながるこの事実は、ポジティブな面とネガティヴな面のわかりやすい例です。
このように、イノベーションをプラスに使えばみんなの役に立つのですが、
マイナスに使うと崩壊に繋がったりもするのです。
では、どうすれば良いのでしょう?
恒美さんによると、
「開発したり、その技術を利用する一人一人が、
スピリットマインドに繋がっていることは大切」
とのこと。
なぜかというと、スピリットマインドに根付いた意識は、
極端な二極に振れないからだそうです。
どこまでが良くてどこからが危険か、という直感的バランスを持つのだと。
「これから世界を変える人たちが、
スピリットマインドの意識に繋がっていると良いよね」
と恒美さんは微笑みます。
それぞれが自分の創造性を発揮して、
今いる世界がイノベーションに溢れたとき、
そしてそれを開発する人だけでなく、利用する人も、
スピリットマインドの意識に目覚めていたとき、
この世界は、どんな風に豊かな世界になるのでしょう。
皆さんはそんな未来を想像できますか?