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エゴモトさんの大ショック

スタッフのブログ 編集部ともこ

とあるところに、とある会社員がいました。名前をエゴモトさんと言います。

ある日エゴモトさんは、勤めている会社でこう言われました。
「エゴモトさん、あなたはもう今までしていた仕事、何もしなくっていいです。あなたにしてもらう仕事は特別ないです」

そう言われて、エゴモトさんは大変なショックを受けます。
「えええっ! 何もしなくていいって、どういうこと? 」「私は、用済みってこと? この会社には不要なの? 」「もしかして……この後、私は、リストラされてしまう? 」

エゴモトさんがこう思ってしまうの、無理もないです。だって、会社って、そこに自分の労働力や何かを提供するなりして、その対価として給料をもらう場所だって、誰もが認識してます。

何にもしないで会社にいるなんて、自分がそこにいる意味がないし、そのうちにリストラされる、って考えてしまうのはおかしくないですよね。

その上、「あ、今までは会社の真ん中に座っていたけど、そこ、どいてもらっていいかな?窓際のスペースに、移動してくれる? 」なんて言われた日には、心が張り裂けそう。

「だめだ……やっぱりリストラだ……」
「こんなに頑張って仕事してきたのに……全く評価されてないんだ……」
とガックリしてしまったのです。

実はこの話は、意識の話を会社に例えて書いてみたのでした。自分の人生という会社に勤めているエゴモトさんとは、自我の意識のことです。

そしてこのお話は、私の自我が実際に体験したことを元に作ったのです。

遡ること2年前、私は恒美(ひさみ)さんに、「ともこさんは、もう何もしなくていいんだよ。やらなきゃいけないことなんて、何もないんだよ」と言われました。

言われたその時はピンとこなくて、「そうなのか、そうだとしたらなんだか有難いな」くらいで、通り過ぎたのですが、それからしばらくして、「あ、私はもう、何にもしなくていいんだ、もう何かを証明しなくていいんだ」と急に腑に落ちる感覚があったのです。

いつも半年から1年、2年後に恒美さんから言われたことがストンと落ちるというのが起こるのですが、この時もそうでした。恒美さんといるといつも、必要なことは既にもう手渡していてくれたんだ、と後で気づくことが本当に多いのです。

もう何もしなくても良いんだ。頑張らなくても、私は完全なんだ。不完全な私は、不完全なまま完全なんだ。

そんな感覚はとても新鮮で、しばらくその感覚にウキウキしたり、うっとりと浸っていたのです。ところがそれからしばらくして、私はなんとも表現し難い強い寂しさに見舞われたのでした。

最初は、その寂しさの正体がわからなくて、どうしたら良いのかと困惑していたのです。
恒美さんにも「寂しい」って言って、聞いてもらってました。
そして、しばらくその寂しさを見つめているうちに、気づいたのです。これは、自我が騒いでいるんだなってことに。

ともこの人生に就職したエゴモトさん(自我)は、ただでさえともこのスピリットマインドが目覚めるにつれ、今までのように存在感を発揮できなくなってきていたところに、さらに追い討ちをかけるように「もう何もしなくていい」って言われちゃったんです。

その時まで、エゴモトさんは、勘違いしていたんです。自分が存在するために、「何かを得ること」「価値のあること」をし続けなくてはならないと。
だから、何もしなくていい、って言われちゃったら、自分はリストラされる(消えてしまう)のではないか、って大ショックを受けたんです。

エゴモトさんには「何も得なくていい、自分の存在価値を証明しなくてもいい」という発想がありませんでした。「得ること」はエゴモトさんの基本動作ですし、「価値があること」が大好きなエゴモトさんにとって、「何もしなくていい」っていうのは、自分の価値を証明することを得ることもしないわけだから、なんだか居ても立っても居られない。とても理解しにくいものだったのです。
けれどその時は、どうすることもできず、ともこのエゴモトさんはそのまま寂しさを抱えて日々を過ごしていました。

でも、そうしているうちに、日々に不思議な安らぎが訪れるようになったのです。季節の風や木の葉の擦れる音が、新鮮な感動のさざなみを心に起こしてくれます。約束して会う友達との時間が、いつも以上にとても大切で幸せな時間のように感じられます。今までとなんら変わりのない日常なのに、なんだか毎日毎日、新しい時間を過ごしているかのような瑞々しさです。

そのうちに、エゴモトさんは気づきました。「何かを得たり、自分の存在価値を証明する」というこれまでの仕事に代わり、
「食べたり、飲んだり、オシャレしたり、出かけたり、自然の景色を楽しんだり、友達とおしゃべりしたり、映画を見たり、買い物したり」ということをして、「今生きているこの時間を、見て聞いて触れて味わう」という大切な仕事があることに。

そして更に、何かを得なくても価値を証明しなくても、そんなことは何もしなくても、会社をクビにならないし、それどころか、好きなように今を味わい楽しむという仕事をしてれば、給料もボーナスもそのまま貰えることが分かったのです。その仕事だって、しなきゃいけないことは何もなく、したくなければしなくてもいいし、好きなようにただここにいればいいんだよ、って会社に言われます。エゴモトさんは自由だったのです。

今ではエゴモトさんは、「本当に本当に、私たちは何かをしなきゃいけないことなんて、なかったんだ。ただ今生きていることをやりたいように楽しめばそれでいいんだ」このことを理解し、今を楽しむことができるようになっています。

エゴモトさん、長年、本当にお疲れ様でした。

 

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